流生式グリップの作り方 by Ryusei Okamoto
「流生式グリップ」、これは私が勝手にそう呼んでいるだけのものですが、彫刻刀の長い柄を切り詰め、使いやすくしたものです。
周りの版画家を見渡しても、使っている方は居ない様なのですが、とても仕事がし易く、長時間彫り続けても疲れません。
御覧のように、簡単な物ですが、手早く綺麗に作るにはそれなりのコツが有ります。順を追って説明してみましょう。
A
B
#1
A 切り詰める前
B 切り詰めた後
#2
#3
作業中の安全のために、刃先にはカバーを付けておきます。 持った時に下になる柄の面を鉋で平らに削ります。#2 その後紙やすりの120番程度で更に平らにします。#3
#4
下の面を削り終わった状態です。#4 柄の後ろの部分を鉋や紙やすりで写真#5、#6の形になるまで削ります。
#5
#6
鉋で削っている様子。#7
#7
#8
鋸で写真の線に沿った所で柄を切断します。この時、私の場合は刃先まで15センチの所で切っています。
#9
刃先は長年使っていると、研ぎの為に短くなって行きます。#9の上の刀は十年以上使っているもの。下は未だ二三年しか使っていないもの。柄を切るとき、刀を握っみて、中指の指先から刃先までが4センチあれば二十年は使えると思います。
#10
#11
#12
切断面の面取りをします。 鉋や紙やすりで丁寧に角を丸めます。ここは手が当たる部分なので角張っていると手が痛くなるのです。#10 #11 #12
#13
#14
ボンドを塗って貼り付けます。#13 乾くまでは輪ゴムをかけておきます。#14
ボンドが乾いたら完成。
本当はこんな面倒な事をしなくても、何処かのメーカーが初めからこの様な柄を作ってくだされば良いのですが。
横に私の思い描いたそのグリップの絵を載せておきます。#15
#15
刀の握り方と彫っている様子
NEWS !
流生グリップの彫刻刀の市販モデルが完成!
詳しくはこのページの一番下を御覧下さい。
力が逃げず、長時間彫っても疲れません。
流生グリップ・木版画用彫刻刀
高橋製作所謹製
お問い合わせは
高橋製作所 電話 090−84905877 高橋和彦
メール z2n3pz@bma.biglobe.ne.jp
刀の切れ味もよく、価格も手ごろなのが嬉しいですね。
2011年6月 京都での第一回国際木版画会議の会場にて、流生モデルとして展示されます。